「辛くて当たり前、死ななきゃ大丈夫」DELLS COFFEE店主、高橋遥インタビュー

interview

関西でhip hopやsoul、funkの音楽イベント、またアパレルショップ内のイベントやポップアップにて出張珈琲を行い、現在は拠点を東京に移し、店舗を構えず自家焙煎した豆の販売や出張珈琲を行っているDELLS COFFEE。世田谷線世田谷駅に実店舗を構え、去年の11月末に店を畳んだのち、現在の販売スタイルに至った経由をオーナーの高橋遥に話を伺った。

まず、珈琲に出会い、その道を進むに至った経緯を教えてください。

大阪出身で、10代の頃から地元のスケボーを本業にしている先輩や、アーティストとして活動している仲間たちに影響を受けて、自分も特別な何かを見つけたい!って思ってました。珈琲との出会いは、当時通っていた珈琲屋さんの考え方や趣味に魅了され、マスターが開いてたハンドドリップのワークショップに一度だけ参加したことがきっかけです。そこがきっかけで気付いたら、19の頃には屋号を取って、仲間と3人で珈琲入れていました。

学生時代にはもう、珈琲屋をするという将来が見えていましたか?

学生時代は、大手チェーンの珈琲屋とかカルチャー色の強い喫茶店でもお世話になっていて、何となく珈琲の道は見ていました。でも当時は将来の為にというより、ただ遊ぶためのお金を稼ぐために働いてました。今思うと学ばせてもらっていた事がかなり多いなって思います。大学を卒業して、コーヒーマシンのエンジニアとして就職し、同時に上京しました。当時、周りで珈琲屋を営んでいる人は10、20歳上が多くて。今自分でお店を持っても、スキル不足だったり、人間味不足だろうなと感じていました。ただ、週末は会社には内緒で、イベントで珈琲入れたりはしていました。

DELLS COFFEEの珈琲といえば、深煎りですよね。そのルーツはなんですか?

オカンがブラックミュージックが好きで、その影響で音楽はずっと好きでした。地元の先輩からもJazzとかSoulのかっこいい音楽をたくさん教えて貰っていて。特にSoulはSoulでも、ドロドロのSoulが好きで。珈琲も探究していくうちに、自分に合う場所が見つかっていって、それが深煎りだったんですよね。店を出すタイミングでは、もう珈琲のスタイルは決まってました。実店舗のお店の内装も、大好きなキャンプ・ロー「ブラック・ノスタルジック」のMVからインスピレーションを受けて、自分でDIYして、とても気に入ってました。

実際、実店舗で2年間やってみてどうでしたか?

イベント出店が主だった頃は、イベントに顔出して、その場で仲良くなった人に仕事をもらったりしていたけど、野良で誰か知らない人からの仕事を待つのは、限界もあって。店舗があると、珈琲屋のマスターとして会いにきてくれるから、気の合う友達が増えましたね。人との出会い方が変わって、それは店舗がある良さでもありました。同時に、店があるのとないのとでは説得力が違うのも事実で。店がないと舐められることもあるし、逆にお店あるだけで腰低く接してくる人も実際いました。

店舗を持たない珈琲屋としての再スタートですが、心境の変化や今後の展望はありますか?

店を持っているとそこにいなきゃいけないというむずむず感はあったから、今は会いたいなって人にすぐ会いに行けるのがいいですね。ただ、店舗をもうやらないと決めた訳ではなくて、しばらくはこのスタイルで、自宅で焙煎して、卸していこうと思っていて、時が来たら店舗を持とうとも考えています。

CITYBUDDHAは自分らしさがテーマです。なにか新しいことを始めようとしている、環境を変えようとしているけど、悩んでいると相談されたらどう答えますか?

やったらええやん。やってみようや!としか、言わないかもしれないです。金銭面とか、安定を失う怖さから自分のやりたいことを我慢している人も多いと思うんです。けど、やらんで一生悩み続けるなら確かめてみたらいいと思います。自分でこの道選んだんだから辛くて当たり前で、死ななきゃ大丈夫、と思っています。苦労もなく成功してしまった時の方が怖いので、継続は力なりという言葉も、また真理だと思います。

自分らしくいることが難しいと感じる人も多いと思います。読者に向けて、何かメッセージをください。

自分は、本当に珈琲しかしてないから、寝て起きたら珈琲嫌いになるかもわからへん、珈琲やりたくなくなったらどうしよう〜、と思うこともあります。笑けど、「何事も最終決定は自分」。他の人の意見聞くのもいいけど、最後は自分で決めて、自分で責任とれ、ってことです。

Text : Miyu Shimokawa

Photography : Shoko Chiba

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