「その時の感情を、残しておく」ーモデル・表現者Meguに聞く、表現する中での自分の保ち方

interview

現在大学3年生でモデルをしながら作品制作を行うMegu。彼女自身が被写体として、また絵やポエムを通して表現する理由や、そのルーツとこれからについて話を伺った。

まず、ご自身のルーツや、絵を描き始めた経緯について教えてください。

生まれは愛媛で、親の転勤で小学5年生から中学3年生までの5年弱、イギリスのロンドンで暮らしました。高校から日本に戻ってきて、3年生の時にへアサロンでモデルを始めました。

絵を描くのは中学生の頃から好きで、ディズニーの絵の模写をしたり、退屈な授業中に落書きしたり。高校2年生の頃は、友達とうまくいかずに1人でいる時間が多くて休み時間によく描いていました。

その頃から、気持ちが落ち込んでる時に絵を描くことが多くて。逃げたい時、泣きたい時、とにかくネガティブになった時に、別のことに没頭したいから描いて、その時の気持ちを残しておく。ハッピーすぎると描かなくなっちゃうから、何かしら不都合・不満があった方が創作意欲が出てきます。と言いつつ、負の感情が強すぎて、描けなくなったこともあって。ハッピーな時でも描こうと思って描けることもあるので、自分の手は気分屋なんだと思います。

絵の場合、描き終わってもスッキリはしないけれど、自分の創り出したものが可愛いことに対する満足感はあって、文章の場合、その時の感情を詩として書き出すのでスッキリします。

作品のトーンや世界観が、描き始めた当初の作品からすでに確立されている印象を受けますが、そのルーツはありますか?

小中学生の頃ロンドンにいた期間もあってか、絵のタッチが海外っぽいねって言われることは多いんですが、自分ではそのインスピレーション源は明確にはわからなくて。高2で描き始めてからは小さく自分の感情や詩的なテキストを入れて、今も同じスタイルで描いています。

絵のトーンが揃っているというのも、自分の技術不足だと思ってて。デッサンがうまいわけでもなく、紙とかペンといった道具も同じものを使い続けているし、それが結果的に個性的な世界観になって見る人に伝わっているのだと思います。

学業とモデル業と作品制作、両立するのは大変だと思いますが、表現する中で悩んだり、苦しくなることはありますか?

学生でモデルと絵を描いていると、やっぱり描くための時間を取るのが難しいですね。けれど去年1年間休学してみて、時間があってフリーでも、モチベーションと描く量はあまり変わらなかったです。やりたいことを両立する、忙しい生活の中でこそ感情の波があって、だから描きたいタイミングが来るのだと思います。

モデルをしていて、表情を作ったりポーズを取ったりも表現だと思うけれど、絵の制作とは明確に違いがあって。モデルをする際は、私自身はその写真の一要素であって、あくまで服や髪を見せる媒体でしかないので、自分の作品ではないという認識で、自分のパーソナルなInstagramには、撮影データは載せないです。自分を表現しているんではなくて、撮影する人の表現を私を通じてしているだけ、という感覚ですね。

発信することに抵抗を感じたり、見る人の反応が気になることはありますか?

初めから絵を発信すること自体に抵抗感はありませんでした。ポストカードを作って売った時に、自分の予想に反して意外なものが多く売れたことがあって、その時は驚きはしましたが、じゃあ好かれやすいものを作ろうとは思いませんでした。

詩的な文章に対しては、痛々しいなと思われるかもとは思うけど、共感してくれる人も多くて。みんなからいいと言われるものを作りたいという感情は特にないけれど、共感してほしい、1人じゃないんだって思って欲しいっていう気持ちはあります。

CITYBUDDHAは”自分らしさ”がテーマです。作品を作る上で、または普段の生活の中で自分らしくいる為の方法やルーティンがあれば教えてください。

そうですね、難しいけど、「自分らしさを考えすぎない」ことですね。自分らしさを求めて他と違うことをしようという意識を持たない。自然体でいると、結果的にその人の個性が出ると思います。

習慣というか、これは癖なんですが、1人でいる時にめっちゃ独り言を言います(笑)

自転車乗っている時とか部屋にいるとき、お風呂入ってる時とか。ぶつぶつ独り言すると、「あっこれ書き留めたいな」ってなる言葉が出てくることが多くて、独り言なのでもちろん自分の意見しか出てこないから、気楽だし自分らしいと感じますね。

そう思うと、独り言って”らしさ”の塊ですね…! Meguさんは自然体で自己表現をしているように感じますが、自己表現することに難しさを感じていたりうまく感情を表現できなくて悩んでる人がいたら、なんと声をかけますか?

絶対、もう表現してるんじゃないかな?絵や音楽や映画とか、そういうちゃんと形あるものじゃなくても、何らかの方法で表現しているはずだと思います。

「どうやって表現しよう、しなきゃ!」じゃなくって、「今私は何で表現してるんだろう」って問いかけてみたらいいと思います。

こう言うととても器用な人みたいに聞こえますが、私の場合、感情が落ちた時にその負の感情を肯定して「こういう時もあるよね」って切り替えて、一旦ストックしておいて、また思い出した時に溜まってる感情を表現するスイッチみたいなものがあると思っています。

ハッピーでいるためにはこのスイッチが必要で、感情の浮き沈みが、表現する上で必要だって理解して、受け入れています。

Megu

Instagram: @megu.is.here / @_megurself_